対象者
●ブランドマネージャー・マーケティング担当者の方
●ブランドの認知度を高めるだけでなく、顧客との強い関係を認めたい/ファンベースを拡大したい方
目次
1.開催概要
2.セミナーの主な内容
インフルエンサーマーケが果たす役割は?目的別での使い分けと戦略設計
⑴やりっぱなしから脱却するインフルエンサーマーケティングの活用法
⑵SNSプラットフォーム別の使い分けとインフルエンサー施策成功のポイント
⑶他では聞けない2024年の傾向と、これから来るトレンド
開催概要
ブランドが消費者にただ認知されるだけでなく「選ばれる存在」になるための方法をテーマにしたセミナーを開催しました。ブランドの成長を加速させ、持続可能な成功を実現するための具体的な戦略やツールをご紹介。
パネルディスカッションでは株式会社トライバルメディアハウス 鳴海様とインフルエンサーマーケが果たす役割について目的別の使い分け・戦略設計観点で各社の考え方をお話しました。
⑴やりっぱなしから脱却するインフルエンサーマーケティングの活用法
長谷川:アカウント運用からインフルエンサーマーケティングまで様々な案件を扱っているトライバルメディアハウスさまだからこそ、支援される中でやりっぱなしで終わっている企業様を見る機会もあるのではと思います。そこで今回は上手くいく企業はどのようなことに取り組めているかをお伺いしてもよろしいでしょうか。
鳴海氏:まず前提として、当社トライバルメディアハウスはマーケティング支援会社で、インフルエンサーに特化した会社ではないため、戦略視点で考え、支援を実行しています。
そのため、企業さまごとのマーケティングにおける目的に沿って、支援内容を選定することを大切にしています。
このように一般的なマーケティングファネルにプロットし、インフルエンサーだけでなく他の施策も含めて選定しています。
例えば、
認知:マス広告や純広告
推奨、満足・熱狂:メールマガジン、ソーシャルメディアのアカウント運用
など施策によって向き不向きがある様にインフルエンサーも4つのタイプに分類しています。
マーケティングの目的に合わせてインフルエンサー選定も変えていくことが、やりっぱなしで終わらない施策のポイントになります。
また今はタレント・芸能人もYouTubeをやっていますので、インフルエンサーの定義がにじんでいる部分もありますが、トライバルメディアハウスはひとつの目安として「タレント・芸能人」「トップインフルエンサー」「カテゴリーインフルエンサー」「ブランドインフルエンサー」と分類しています。
トップインフルエンサー:有名な人に紹介してもらい認知を取っていく
カテゴリーインフルエンサー:”コスメといったらこの人”、”キャンプといったらこの人”等、その界隈で権威があり信頼されている人に紹介してもらう
ブランドインフルエンサー:その人たちの熱量を元に”なぜこのブランドなのか”を伝えてもらう
マーケティングの目的、予算から逆算してインフルエンサーを定めていくことが入口として重要です。
長谷川:ありがとうございます。とても重要なフレームワークですね。
弊社の場合ですとインフルエンサー施策の重要なポイントが2つあると考えていて、
「インフルエンサーの選定基準」と「どんな商材か」。この掛け算で上手くいくかが変わってくると思っています。
まず商材の認知・ブランドや価格によって取るべき打ち手が変わってくるので、
その商材フェーズに合わせた施策が必要なのでこのフレームワークはぜひ参考にしていただきたいです。
またやりっぱなしで終わらないために見るべき直接指標と間接指標を抑えておくことも必要です。
インフルエンサー施策の場合、KPI設定がずれているケースもあるのですが
本質的な見るべき直接指標で言うと、①サイト遷移数②クーポンコード利用数になります。
一般的には①いいね数②コメント数③imp数等を見ることが多いですが、
サイト遷移数やクーポンコード利用数の方が売上と相関関係が高く、本質的なKPIと言えます。
一方でインフルエンサー施策の場合、認知・興味喚起が強い施策なので
こういった直接指標だけですと効果が測れないケースもあります。
そこで間接指標として①指名検索数②保存・リーチ数③サイトセッション数④他広告数値の変化も合わせて確認し、全体の視点で費用対効果が合っていたのかを見ていくことが一般的です。
⑵SNSプラットフォーム別の使い分けとインフルエンサー施策成功のポイント
鳴海氏:まずインフルエンサーの影響力は、前提として考えるべきことですが
どんな内容で、誰が投稿し、どう伝達していくのかという3つのポイントが大切になります。
ここにプラットフォームを掛け合わせていくという考え方を元にして、当社では提案をしています。
内容:企業側は自社の商品への想いがある分、伝えたい内容も多い。
一方でプラットフォームによって伝えられる情報量が変わるのでコントロールが必要。
投稿者:パート1で伝えた分類を元にどんなインフルエンサーに投稿してもらうかを決める。
伝達力:アルゴリズムを加味したインフルエンサーの選定が重要。
その選定のポイントを簡単にまとめると、
・普段どのようなコミュニケーションをしているか
・ブランドや商品のターゲットと一致するフォロワーがどのくらいいるか
・フォロワーの中に熱狂的なファンがいるか
・インフルエンサーにカテゴリーに関する知識や経験があるか
・インフルエンサーにブランドや商品に対する好意があるか
という5つのポイントが各プラットフォームでアルゴリズムを制覇し広い方に届けていくために重要となります。
長谷川:鳴海さんよりお話しいただいた内容を元に各プラットフォームの特徴をさらにお伝えすると、
Instagramは他のSNSと比較して衝動買いが起きやすい傾向にあります。
一方で拡散力が高いのはTIkTok、YouTubeです。
基本的にはアカウント開設後、初動の投稿だと閲覧数が伸びにくい傾向にあり,
InstagramやXだと平均閲覧数が100以下と言われている中でTikTokの場合、1,000を超えます。
そのTikTokに続いて平均閲覧数が多いのがYouTubeというデータがあります。
このデータを踏まえて認知・興味喚起に重きを置く施策の場合、TikTokやYouTubeがおすすめ。
購入を促す施策の場合、Instagramを使うと効果が出やすくなります。
このプラットフォームごとの使い分けと合わせて重要なのがインフルエンサーの選定基準です。
①投稿の質が良い見られているアカウント起用
フォロワー数、エンゲージメント数だけでなくその手前で見られているアカウントかという点を見ています。
具体的には
・フィード投稿によるPR:投稿からのホーム遷移率が40%を超えているか
・ストーリーズ投稿によるPR:5~10枚の平均閲覧率が40%を超えているか
この2点をポイントにしています。
②直近90日のPR投稿率
直近90日間のPR投稿率が20%を超えていると反応が取れないという傾向があります。
よって直近での PR投稿率は必須で確認する必要があると考えています。
③直近90日のフォロワー増加率
さらに直近伸びているアカウントでないと反応が伸びないケースが多いと
2024年は特に感じることが多かったため、弊社ではフォロワー増加率も指標に置いています。
⑶他では聞けない2024年の傾向と、これから来るトレンド
長谷川:2024年のインフルエンサー施策は
「顧客への寄り添い(VOC)」×「顧客の信頼獲得(プロセスエコノミー)」がキーワードになっていると感じています。
また2024年効果が出ている施策・トレンドは
①キャンペーン連動型 VOC分析投稿、②プロセスエコノミー型投稿が傾向として効果が出ていると実感しています。
①キャンペーン連動型 VOC分析投稿
これらはインフルエンサーによる利用体験の投稿を実施し、コメントで見込み顧客からきたフィードバックを元に商品や価格のアップデートやキャンペーンに繋げる2ステップ型の施策です。
物販の中でも美容・健康食品などに強い傾向で、媒体はYouTubeが推奨です。
toC領域で商品の差別化が難しく、理解を深めていく必要がある商材で効果が出やすい施策です。
②プロセスエコノミー型投稿
工場見学や担当者インタビューをするプロセスエコノミー型投稿とは、
商品が溢れている現代で、何が本当に良い商品なのか分からないという課題を払拭するための施策です。
商品の過程や想いを語っていくことで商品の信頼を獲得することができ、CVRが平均145%改善した事例があります。
そうした傾向を踏まえて2025年のインフルエンサー施策を予測すると
特に「TikTokライブによる認知・興味喚起施策×キャンペーン連動施策」が伸びると推測し、
大手企業の場合、顧客ロイヤリティ・LTVを意識した取り組みが重要なため
「自社SNSアカウント」で「IFやタレントを起用し顧客の夢を叶える、または変身プロデュース企画」系の投稿が増えてくると思っています。
鳴海氏:ネクストレンドさまとは異なった支援となっている印象を受けられるかもしれませんが、
トライバルメディアハウスではよく「今日の売上」と「明日の売上」のどちらを作りますか?という会話をさせていただきます。
例えば「デイリーランキングで1位を取る」は”今日どのように売上を作るか”という収穫系の施策と考え、費用対効果が高くなる傾向にあると思っています。
またトレンドは日々変わっていくので、企業の場合トレンドに乗りづらいという場合も多い印象です。
そのためトレンドに乗っていく形を取るのももちろん良いですが、当社の場合はどんな目的で施策を行うかという視点で設定させていただくことがブレないマーケティング施策を展開できるポイントになります。
その中でこれから来るトレンドをお伝えすると、これまでもそうですが
「明日の売上づくり=将来の売上づくり」という、CRMの観点でユーザーと関係値が深くなるような
図右下のコミュニケーションが今後より一層大事になってくると考えています。
どうしてもAI化や宣伝目的のインフルエンサーが増えている中で
いかにフォロワーの方を味方にしながら一緒に商品やブランドについて会話できる環境を作れるかが
一年後、二年後にブランドの権威を持っているかに関わってくるため、
トレンドに乗りつつ、先々ブランドとして成立できるように明日の売上づくりをしていくことが重要だと思っています。
長谷川:短期と中長期の視点を行き来しながら取り組めている企業が以外と少なかったりするので、このフレームワークはぜひ意識してもらいたいところですよね。参考にしていただければ幸いです。
登壇者プロフィール
■長谷川 孔介
株式会社ネクストレンド
デジタルマーケティング事業本部
本部長/執行役員
【プロフィール】
SNS制作会社売却後、DMM.comの事業部横断組織にて
新規事業開発・事業再生に従事。
現在はネクストトレンドのデジタルマーケティング事業部の事業責任者として
SNS広告軸にを国内外の大手企業や官公庁などの
クライアントのマーケティング領域全般を支援。
年間3,000案件以上のインフルエンサーマーケティングを実施する
業界トップクラスのインフルエンサーマーケティング会社。
■鳴海 まい
株式会社トライバルメディアハウス
執行役員/マーケティングデザイン事業本部 事業本部長 ※所属は登壇当時
【プロフィール】
2015年トライバルメディアハウス入社。
ソリューション事業の執行役員/本部長として事業を推進している。
プロモーション企画・実行を得意領域とし、企業社内研修の講師
セミナーイベントへの登壇実績も多数。
【HP】
https://www.tribalmedia.co.jp/